僕の心のヤバイやつ 5

 このくらいの年頃の女の子って大人びているよね。

 というわけで学生ラブコメの定番、目標が決まっている女の子とバカみたいなことばっかりやってる男子の展開を軽くやりつつ相変わらず激しく悩んだりはしない優しいラブコメ第5巻。

 もっとも、恋愛は危険だ。とくに自分をごまかす技術のない十代では、何もかもが茨のようになりかねない。安全な恋愛というのは結構矛盾する言葉なのだ。

 そのあたり、どういう工夫なのだろうかという目線で読んでみると、山田の友達はみんなよく出来ている。格差カップルというのは作者も意図した設定のはずだが「釣り合わない」などという者もいなければ、いざとなれば気を回してくれる者ばかりだ。もう、同じ家の飼い犬と飼い猫がじゃれあっているみたいな状態で、それを家族がひたすら甘やかしているみたいな感覚になる。

 京太郎もそれなりに山田との差について悲観したりもするけれど、他のラブコメほどの切羽詰まった不安感はない。それはふたりとも居場所があって、この状況が変わらないという根底の安心感なのだと思う。山田が仕事で引っ越すとかそういう展開がまったく予感もしない、良い意味での収まりの良さがある。

 それは多分、誰にも人生の席があって奪い合うものでも、急がないとなくなるものでもないという感覚が根底にあるからじゃないかと思う。山田が仕事のために恋愛を捨てるようなこともなく、京太郎はそれなりの将来があって人生息詰まるようなこともないだろうし、ふたりの関係を築く場所はこれからもあり続ける。そんな世界観だ。

 故に先輩の違和感というのが強烈に際立つのだけれど。