86―エイティシックス―

 ライトノベル原作のロボットアニメ。2021年春に1クール方法。分割2クールらしい。

 前線で戦う被差別民の少年少女と安全な本国内から彼らを指揮する少女の交流を中心とした物語。

 面白いなと思った点はいくつかあって、まず原作のストーリー構成。戦うキャラクターたちは次々死んでいって、徐々にその全滅は逃れ得ない未来なのだと確信させられる。こういった物語なら、差別と全滅する戦いに投入される現実に憤って反旗を翻すというのがありがちだけれど、そうもいかない現実が明かされる。かといって指揮する少女はその後に残されるので物語は続く。このドラマの比率が、単純にどちらかのためのものでなく相互に影響しあっている点はドラマの描き方としてよかった。

 映像演出も秀逸で、同じシーンを双方の視点から映すことで同じものと立場によって異なることが際だった。これはドラマの面でも世界観に説得力を持たせる意味でも優れているし、尺をかなり食う演出を度々行っていたので制作側の自身も感じられるものだった。

 得てして創作物の差別というのはいまいちリアリティのないものだったり、悲劇的な生い立ちという説明を補強するフレーバーになってしまいがちだけれど、本作はそれが重要な設定であることもあって描写の説得力が高い。危険な目にはあいたくない現実を見ようとしない国民、互いに見下し合う民族、自分たちが戦うことが憎い支配民だけでなく同胞を守ることでもあるために逃げられない兵士たち。誰もが状況に絡め取られ、そして慣れて常態化する。方便や暫定的な措置が欺瞞へと置き換わっていく。

 今後の展開としては、誰もが血を流すべきであるという方向に行くのだろうか。というところで分割2クールなのでしばしお預けである。