風都探偵 10

風都探偵(10) (ビッグコミックス)

 

 1巻丸々でひとつの事件を追う、メモリによる能力バトル×探偵モノの面白さが詰まった巻。

 元々テレビドラマでもガイアメモリと個人のドラマの連動が優れていたけれど、尺としては1時間ドラマ2本分くらいのボリュームがある贅沢な構成なのでキャラクター全員のドラマが拾われていて、かつ仮面という共通モチーフに繋がっているために大きなワンエピソードとしてのまとまりがいい。

 このまとまりがいいというのは、ひとつの事象に対して複数のドラマが展開されるけれど、主人公視点でひとつながりの出来事として理解されるという「誰かの視点からの物語的理解」が成立しているということで(本作でいえば翔太郎が締めくくっているように)、読者のドラマ的なわかりやすさを求める心理に複雑な推理と絡み合うドラマを経由しながら応えている点が、この作品やあるいは推理モノの醍醐味なのだろうかと思う。