筺底のエルピス ―絶滅前線―

筺底のエルピス -絶滅前線- (ガガガ文庫)

 面白かった。

 鬼と呼ばれている、正確には異界のプログラムに寄生された人間を倒しプログラムを排除する門部の討伐員の戦いを描くバトルもの。

 この巻はキャラクターと世界観の紹介、主人公の支えとなっている友人が未知のプログラムに寄生され、その排除を目論むバチカンの鬼狩りと衝突したり共闘したり――、というお話。

 突出して優れているのは停時フィールドという武器だろう。同一の原理からなる、使用者によって性能が異なる武器。基本的な特性は同一であり、形状や射程などが異なる。成約が存在することでアクションシーンは非常によいものになっている。

 ひとつには、イメージが付きやすいということだ。例えば絵なら一部分の描写でも、人間は人体の一部から全体を想像する能力に長けているから十分に動きのイメージがつく。小説の難しい点は自由度が高すぎるあまり、動きのイメージや戦いにおける空間把握が難しい点にあるが、ルールが存在するおかげでキャラクターのできることにイメージ上の成約がつき、想像しやすくなる。能力はそのサイズや質量、効果時間がつねに具体的な数字などで説明される。身体性を感じるためには限界や成約が重要であり、ルールと具体性のある描写でそれを生じさせている点が突出して優れている。

 というわけで続刊も読むかも。