NIWA TO NIRA/ずっと真夜中でいいのに。

【Amazon.co.jp限定】ぐされ(初回限定LIVE盤)(1CD+BD (STREAMING/DL))(特典:オリジナル8bit(ファミコン風)アレンジCD(2曲入り)付)

 

 

 2ndフルアルバム「ぐされ」初回限定盤についてきた、2020年8月6日に有料配信されたオンラインライブの映像版。封入されているQRコードをアプリで読み込むとダウンロード視聴できるので、BDプレイヤーがなくても安心。

 

1.OPENING

 薄暗いステージ、吊るされた薬缶から煙が出ている。(このまま3分半経過)薬缶に吊り下げられたスプーンたちを鳴らすACAね。今度はおもむろに包丁で茄子を切り始める。次はパプリカ。大味な切り方。また茄子。とうもろこし……は包丁が通らなかったので手で半分にへし折る。今度はニラ。刻むペースが徐々に早くなる。

2.眩しいDNAだけ

 ニラを刻む包丁の音と同期してなり始めるドラム。移動するACAね。暗いステージで歌い始める。

 いったい何を見せられているんだ。

 バンドメンバーは覆面姿、ACAねは逆光で顔は見えず、首から下が映るカメラワーク中心。妖しい雰囲気のまましっとりと歌い上げる。

3.お勉強しといてよ

 アニメPVを想起させるブラウン管テレビを叩く男。ブラウン管の静電気を使った楽器らしい。オープンリールテープを叩く謎楽器も登場し、知っている曲とはいえヤバい演奏集団のビジュアルに圧倒される。

4.ヒューマノイド

 イントロの一瞬の静寂で「ずっと真夜中でいいのに。です」と自己紹介が入り、赤と緑のステージライトが明滅する中で激しい演奏が行われる。ACAねもエレキギターでバッキングしていた。

 曲が終わるとさっき切った野菜をタッパーに入れて、小さなプールを囲んで楽器が配置されているステージへ移動。

5.マリンブルーの庭園

 オープンリールテープを使ったアコーディオンのような楽器とドラム、アコースティックギターシンセサイザーでプールを前に演奏されるマリンブルーは幻想的で、扇風機を改造した謎楽器によるACAねの扇風琴ソロも現実離れした体験を一層強めている。

 などベース担当の方はさっきの野菜と肉を串に刺していた。

6.君がいて水になる

 オープンリルテープの独特の音もあってゆるーいアレンジ。演奏中にプールにおもちゃを流したりしていた。演奏が終わると串の肉と野菜を焼き始める。ベースの人が。

7.彷徨い酔い温度

 ベースの人が胡椒をふっている横で法被的なのをACAねが着て前ノリなリズムの太鼓で……、彷徨い酔い音頭。なんだかお祭りの最後の曲みたいな盛り上がり。

8.MILABO

 焼けたのでさっきの串を食べるACAね。画面にキーボードを弾く人の姿がオーバーレイして映り、古めかしいディスコサウンドが鳴り響く。さっきのステージに戻ると光り輝くミラーボールが。

 音が止まって暗転、軽快にMILABOが始まる。ディスコサウンドがいい助走になっていい具合に盛り上がる。曲が終わるとたどたどしいMC。「最近ハマっていることは体感を鍛えることと画像をザラザラに加工することです。楽しいです。元気です」

9.秒針を噛む

 言わずもがなの名曲。生演奏との相性や間奏のタメからライブ向きだよなぁと。

10.低血ボルト

 MILABO、秒針と疾走感で畳み掛けて勢いのある曲三連発。

11.マイノリティ脈絡

 緊張が解けたのか序盤は棒立ちで歌っていたのに動き回るACAね。

12.正義

 おたまを指揮棒代わりに振って夕焼け小焼けが演奏される。「帰りの時間です」

 長いソロアドリブパートがあるけれど、まぁ技術とフリーダムを兼ね備えたやりたい放題。

13.暗く黒く

 アンコール。

 

 エンドクレジットでは全員の体温が記載されていた。

 

【おまけ映像】ACAね ASMRの旅 滝と焚き火編

 1時間も収録されている。(謎)

 滝と焚き火の映像が30分づつ収録されている。誰かの手や脚がときどき映る。それだけ。

 

 総じて、コンセプトを貫き通すという全体の総意を感じるライブだった。

 当然、何かをやるとき自分たちの世界観を実現することは手間がかかるし、それが正しいのかもわからない。センスも問われるし(例えば野菜を切るところから始まるライブといっても人によっては意味不明で納得して貰えないだろう)手間もかかる(実際、生配信でやろうとして現実的でなかったので一発撮りに変更されたらしい)から、何かを作る上で当たり前のことでありながら障害は多い。そこでACAねの、そしてずっと真夜中でいいのに。というバンドのコンセプトを優先し世界観を守って表現するというのは、このライブに限らずずっと挑まれてきたことで、また今回も徹底されていた。

 中身の話に移ると、 古いものと新しいものの融合がやりたいというACAねから声をかけたOpen Reel Ensembleのノイジーサウンドは、それすら音楽の一部となる異物として機能していた。調和よりも不協和と葛藤を志向する歌詞世界と共鳴し、渾然一体となってライブ体験を形成していた。この点はシリアスでありながらユーモアな音楽と、バーベキューを始めるユーモアたっぷりな演出も同様だ。

 また、ACAねが顔を出していない、バンドメンバーの顔が映らないというのも、演出面での効果を感じた。顔を出さないライブの最大のメリットは、暗闇の中で息遣いから相手の感情を探るように、属人化してACAねという人物で音楽世界を理解し納得することが出来ないために歌詞や演出から理解しようとせざるを得ないことだろう。それは感覚的な歌詞や世界観を強く反映した演出といったこのバンドの良さに否応なく注目させられる原動力になる。

 というわけで、魅せ方の部分でも満足だったし、今後が楽しみなずとまよ。だった。