チェンソーマン 10

チェンソーマン 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 急転直下の展開で最終決戦が始まったりハンバーガー食いに行ったりする第10巻。

 展開が特徴的で、パワーの突然の死からマキマがすべてを明かし、公安の襲撃とチェンソーマンVSマキマと雪崩れるように最終決戦に移り、戦いの最中に突然ハンバーガー回が始まる。この唐突に話が切り替わったり急に進んだりすることについて考えてみる。

 どうして急展開が一般に良いようにいわれるのか。物語は基本的なパターンや法則、あるいは類型を有しているから、予想がつきやすい。人間はパターンから離れた物語は理解しづらいと思い、かつ予想がつく物語は単調に感じる。チェンソーマンはいろいろな作品の要素を組み合わせたミクスチャー的な面が強いし、骨格は伝統的なデビルマンものなのでマキマとの衝突も多くの人が予想していただろう。

 創作論でいわれるように、物語の骨格が王道であることは決して創造性のなさではない。この作者の場合はデビルマン的変身ヒーローを様々な映像作品のオマージュと映像的な漫画技術、そしてダイナミックなシナリオの緩急で表現した。

 変身ヒーローを描くとき誰もがやりたくなるのは最初の変身で、そこを駆け足気味にした点や戦う動機をあえて軽いものにした王道からハズレる展開は(ハンバーガーやコベニカーのくだりもそうだ)、デビルマンという使い古された骨格を使いながら飽きさせないための意外性であり作家性でもある。

 同時にこういったハズしの上手い作家とは何だろうかと思ったのだけれど、ロジックとしてはファッションに似ているのかも知れない。ファッションに関する作家でバイヤーのMB氏によると「おしゃれとは客観性のある差別化」だそうだ。巧みな意外性は高い客観性に基づいているのだろう。

 客観性と、うまく違いを作り出す技術。それも創造性の重要なひとつなのだろう。