帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline 2

帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline(2) (角川コミックス・エース)

 

 

 聖杯戦争×戦乱×タイムリープ

 

 完成度が高く非常に面白いのでオススメ。(ただし指や腕がポンポン千切れる)

 聖杯戦争、ひいては「何でも願いが叶う」という類型の物語は、個人の願望を叶える物語と世界を賭けて戦うものに分類できるけれど、(zeroやapoは前者でFGOは後者)これは後者の分類。

 戦時中という舞台立ては聖杯を求める切実さを高めて緊張感も説得力もあるし、戦いの規模が大きくなっても無理がないのでダイナミズムも出るから全体において非常によく緊張感やキャラ立てに寄与している。

 主人公はタイムリープして太平洋戦争中の聖杯戦争に巻き込まれた現代人だけれど、聖杯戦争に参加した自分の祖母を守るという動機があって、こちらの設定も地に足がついていて生々しい動機の聖杯戦争で浮かない存在になっている。

 主人公がヒロインを守る理由というのは一目惚れとか、か弱い女の子を寄ってたかって追い回すなんてという義憤が用いられがちだけれど、中途半端にやってしまうと世界の運命を前に私情で無思慮に振る舞っている愚か者に見えかねない。太平洋戦争の運命を賭けた戦いに参加するなら、ヒロインが死ぬと自分が消えてしまうという切実さは説得力がある。

 ヒロインが死んでしまうと未来が変わって自分の存在が消えるという主人公の動機は、戦争の結果が変わると自分の存在が消えるかもしれないという全体の構造とも相似していて、(この聖杯戦争を書いたラノベの存在など)現代人が共感できる主人公と殺伐とした戦いのバランスや架け橋を作りつつ戦いもうまく盛り上がっていって、1巻はややスロースタートだったもののかなり今後に期待できる2巻だった。

 

 あと、作画の平野綾二氏は鬼滅の刃のスピンオフも担当した漫画家で剣の殺陣が上手い。戦いごとの状況の組み立て、話の緩急のリズムもよい。最近読んだ中では一番好みだった。