ファイアボール・チャーミング・ユーモラス

ファイアボール [DVD]

 

ファイアボール [DVD]

ファイアボール [DVD]

  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: DVD

 

 (ユーモラスは商品がなかった。アフィリエイトというわけでもないので諦める)

 

 ファイアボールとは何か。ディズニー・ジャパン制作のCGアニメである。

 CGのクオリティは高い。何よりトンチキなやりとりを演出するモーション付けのクオリティの高さは目立たないがすごい。普段ディズニー・ジャパンって何作ってるんだろう……。

 

 この作品、基本的には遠い未来で人類と敵対して暮らすお嬢様アンドロイド・ドロッセルとその執事ゲデヒトニスが会話するだけの作品である。会話はユーモアが効いていて、シニカルだったり茶目っ気があったりする。

 では、どうしてアンドロイドたちの会話が面白いのだろうか。

 そもそもだけれど我々が、アンドロイドが将来するであろう会話を聴いて面白いかというと疑問だ。意外と退屈な会話をしているかも知れないし。いわゆるアンドロイドものとは人間的主観によってデフォルメされた、あるいは人間の写し鏡としての同じ姿をして異なる意識を持つ存在の物語である。

 本作もアンドロイドは随分と人間らしい。というより人間らしすぎるのだ。ゲデヒトニスは蟹のような姿の多脚ロボだが、咳き込んで変なところに入ったご飯粒が鼻から出てきたときの話をする。ドロッセルの言語感覚は独特で、芋煮会ちくわぶといった純白の光沢ボディからは想像もつかない単語が飛び出す。

 ドロッセルが口にするパジャマパーティー芋煮会は我々が口にするのとでは異なる印象が生じる。時代背景が違いアンドロイドでありまたCGアニメーションである彼女がいうと、芋煮会が何か輝かしいイベントのように思えてくる。

 以前にアニメで出てくる食べ物が現実のものより美味しそうに見える現象を異化作用と誰かが呼んで論じていたけれど、この呼び方が正しいかは自信がないが本質的には違いだろう。日常系アニメなら成立するかも知れないが我々がしても大して面白くない他愛のない会話が、不思議と面白く聴こえる。

 この構造は他でもない、ミッキーマウスと同様だ。人間のアクションをデフォルメし動物にさせることで、行為者が人間であるという点が脱色される。どうして脱色する必要があるのかといえば、ユーモアにとって人間であるということがノイズになるからだ。人間というのは気難しいから誰かが笑うとき自分が笑いものになる恐怖を感じたり、コントを行う人達の力関係に意識が向いたりする。そういった人間の面倒くさい性質を機能させずに我々の振る舞いのみを抜き出し強調する、これがアンドロイドや動物にユーモアを表現させるメリットだ。(ユーモアの基本である強調と異化作用というのは相性がいい)

 こうして時にかなりシニカルなアンドロイドの会話劇は軽やかで口当たりがよく、かつ毒の効いたユーモアとして成立している。

 

 11月からは完結編が放送されるということで、楽しみにスタンバっている。芋煮会! パジャマパーティー! ほろあま!