鬼滅の刃 22

鬼滅の刃 22 (ジャンプコミックスDIGITAL)

鬼滅の刃 22 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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 最終決戦も佳境の22巻。

 最強の敵に対する戦いが繰り広げられ内容に関しては今更いうことがないくらい面白い。

 無残に関しては感情面で争うものがあまりない害虫駆除状態のため、ドラマとしては主人公たちがいかに強敵を倒すかという点に絞られるのだけれど、個人的にはこの巻の「ハズし」の意図や効果について考えている。

 ハズしというのは、例えば主人公の覚醒でなく泥臭い死闘で勝利するところ。(これだけなら個人の天才的な能力よりみんなの執念の勝利とも見れるけれど)あるいは勝利の糸口のように描写されていながら活用されない、この展開ならばこうなるだろうというものをハズすことについて。

 先に触れて置かなければならないけれど、無残戦に関してはやや展開が整理されていなくて効果的でない部分もある。それに加えて多分作者は(炭治郎の主人公像がこの世界の普通の男の子として生み出されたものであるが故に)炭治郎をあまり才能のある存在として書けない、いわば英雄不在の世界であるが故に、毒という手段に多くの役割を与えないと勝利のイメージが作れなかったのだろうなとは思う。

 そうした英雄的な、あるいは主人公然とした勝利にはこのキャラクターたちでは及ばないのだという表現のハズしでもあるのだろう。無残戦はこのハズしが続くので非常にじれったい。増援が来ようが、仲間が能力の覚醒をしようが、主人公が最強の技を使えるようになろうが、戦況は一切好転しない。悪化もしない。

 加えて、ここまで執拗にハズし続けたのは(この巻以降の話も含んでしまうけれど)むしろ勝利の爽快感や達成感をなくそうとしたのではないか、というのが個人的な感想だったりする。無残は自らを災害と例えたけれど、大災害を死力を尽くして乗り切ったところで達成感はなく失ったものの痛みが残り、その中で日常へ帰らなければならないという現実がまっている。ただ単に強いだけではなくどちらが生き残るか争うのみの、その他の心情を持ち得ない無残という存在の虚無が動かない戦況に表現された、ドラマとして賭けるものがないという点が波及した戦いだったのではないかと思っている。