帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline 1

帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline(1) (角川コミックス・エース)

 

 まずもって聖杯戦争というアイディアが元々面白いのに絵が上手いので面白い。

 真面目なところ、これに関しては「テキスト」「伝記」とステイナイト要素を結構拾っているので結構忠実なんだけど、多分それはかなり上手く機能している。

 過去の英雄を呼び出して戦う決闘という世界観設定に対してどういったキャラクターとドラマを設定するかという(当然これらは相互に重複して連動し機能する)、つまり世界観が先にある場合何を考えるべきかという話なんだけれど。
 fateシリーズがどうしてテキストと親和性が高いのかぼんやり考えている。英雄とはテキストで伝承されたものだから、言葉とはもっとも原始的な魔術だから(召喚や宝具に祝詞が付随することが証明している)、そしてfateとは英雄の生き様に新たな1ページを付け加える物語だから。つまり、歴史の授業で語られる偉人とキャラクターを繋ぎ合わせる接着剤がテキストなのだ。ろうか。

 

 ともかく、「過去の英雄を呼び出して戦わせ願いを叶える」というアイディアはどうやら未来への戦いというよりは人類の過去そのものと対峙するほうが相性がいいらしい。小説のアイディアの考え方に「もし○○に○○だったら」というものがあるけれど、例えばステイナイトなら「もし過去の英雄を使役し願いを叶える戦いに、正義の味方になりたい少年が巻き込まれたら」となる。それはまぁ激しい戦いと痛みを伴う物語になるだろうなというところで、物語として十分なコンフリクトが成立している。

 この作品の場合は、「もし過去の英雄を使役し願いを叶える戦いに、未来から来た少年が巻き込まれたら」だろうか。彼は血反吐を吐いても歴史を導かなければならない。

 こう考えると聖杯戦争自体が歴史の一部そのものであり、代えがたい必定を含んでいるために激しい葛藤が生じて物語として面白いと見るのが正確なのだろうか。

 例えば重要な要素だけ抜き出してコンパクトに再構成すると、「幕末の京都で人が死ぬことを極端に嫌う少年が、病死した沖田総司を偶然秘術で蘇らせ支配したら」とかだろうか。ギリギリfateになる……かな?